植物が養分を吸収する仕組
2015年4月20日 - 未分類
まだ、完全に理解したわけではありません(勉強中です)が、植物が、どのようなメカニズムで養分(窒素、リン酸、加里、他、微量元素)を吸収するのか、簡単に説明したいと思います。間違いがあれば、是非、ご教授ください。
養分を吸収するメカニズムは、大きく分けて2段階で構成されます。
第一ステップは、水に溶け込んだ養分を、水ごと取り込む仕組みです。養分は、気孔からでも吸収できますが、ここでは、根からの吸収だけに注目します。
根の水分吸収は、浸透圧による拡散です。根の内部の水分量が減少して、溶質濃度が高くなった場合に、外部から根の内部に、養分を含んだ水がしみ込みます。根の周り(細胞外)のpHは5くらいです。細胞内のpHは8くらいです。そうなると、外の水素イオン濃度は内の水素イオン濃度の1000倍くらい濃いです。水の吸収は、能動的な仕組みで起きています。水分を放出する蒸散は、植物体の溶質濃度を高める作用があります。第一ステップは、水をアポプラストに導入する過程と言えます。
第二ステップは、根の内部に吸収した、養分を含む水から、養分を選択的に吸収する仕組みです。水に溶けている窒素、リン酸、加里、他、微量元素は、イオンになっています。非常に希薄なので浸透圧では取り込むことができません。故に、選択的に汲み取らなければなりません。選択イオンを取り込むためには、ATPをエネルギーとして、プロトンポンプを動作させて、特定のイオンを取り込みます。例えば、窒素だけを選択的に取り込むポンプがあります。カリウムだけを選択的に取り込むポンプがあります。能動的に選択したイオンを汲み上げているので、イオン濃度が希薄であっても、目的のイオンが存在していれば汲み上げることができます。これは、植物が、希薄な養液でも生長できる秘密なのです。第二ステップは、養分を細胞内に取り込む、シンプラストの過程だと言えます。
では、カリウムだけが不足していた場合はどうなるのでしょうか? カリウムを汲み上げるポンプは、いくら探してもカリウムがないので、カリウムに近いナトリウムを汲み上げるようです。暫くの間は、カリウムの代わりにナトリウムを代用するようです。すると、植物体からはカリウム濃度が低下していきます。これが、低カリウム野菜ができる原理です。
注)カリウム濃度が低い場合には、別の遺伝子が発現して、希薄なカリウムを吸収するようになるようです。別の機会に詳しく書きたいと思います。以上の2段階の構成から、高糖度トマトを作る方法を考えてみましょう。高糖度化とは、トマトの実から水分を取り去ることです。取り去ることが難しければ、新たな水分を入れないことです。第一段階では、水を与えないこと、または、水を与えても吸収できないようにすることです。根の内部と同じ程度のpH8になるように養液を濃くします。浸透圧がなくなるので、水があるのに、アポプラストに導入できないことになります。この状態が長く続くと、ついには枯れてしまいます。なので、適度に、必要最小限度の水を吸収できるようにしてやらなければなりません。養液濃度の設定が難しそうですね。養液濃度を濃くするよりも、給水回数や吸水量で調整するほうが簡単そうです。
日本植物生理学会のホームページが、とても参考になります。 また、参考書としては、根の辞典で詳しく説明されています。根の辞典は図書館にあるでしょう。滋賀県立図書館にはありましたよ。でも、貸出禁止でした。。。。(iPhoneで写真を撮りました。多分、いけないことなんでしょうね(汗)。)
次の図は、根の辞典の333頁にあった、根における養分吸収機構の概念図です。難しいです。でも、この文章を読んだ方なら、ぼんやりと理解できるかもしれませんね。