栽培原理
2013年12月30日 - 栽培実験
目指したのは、「理想的な畑」
アイティプランターが目指したのは、「理想的な畑」です。理想的な畑は、水はけが良く、窒素、リン酸、カリ等の無機成分がバランスよく含まれていて、日当たりがよいことです。特に、水はけが良いと、植物の根の生長に必要な酸素が十分に供給され、その結果、根腐れが起きにくくなり、植物が元気に育ちます。
そこで、定期的にポンプで根に水を与えます。そして、根を濡らした水は、速やかに排出されるようにします。与える水には、窒素、リン酸、カリ等の無機成分をバランスよく含んだ養液を使います。LED光源で日当たりをよくします。これが、水気栽培の方法です。水気栽培では、発達する根に大きな違いがでます。
水耕栽培と水気栽培の違い
水耕栽培には、養液の中に根を浸す湛水型水耕栽培と循環式水耕栽培があります。湛水型水耕栽培では、根が養液の中に浸かりっぱなしになっている為に、酸素が不足して養液が腐敗しやすく、また、根腐れも起きやすいので栽培期間は1ヶ月程度になります。1ヶ月ほどで収穫できる軟弱野菜の栽培程度しか使えません。養液の中に空気を送り込み、水中酸素を増やせば栽培できる期間は長くなります。しかし、植物の根は、太い水耕根に変化します。これは、根を太らせることで、表面積を減らし、過剰な水分の流入を防いでいると考えられます。一方、水気栽培では、植物の根は、細かい網状になります。これは、水はけが良いために、水のあるうちに、より多くの水を吸収できるよう、根の表面積を増やしていると考えられます。その為に、地上部の茎や葉の大きさに比較して、水気栽培の植物の根は非常にコンパクトです。根に使う栄養分を、茎や葉に利用できるので、地上部の生育がより良くなります。
有機栽培との違い
有機栽培は、緑肥、堆肥等を微生物が分解して生成する、無機物で植物を栽培する方法です。微生物が必要なので、主に土壌栽培になります。これは、化学肥料の使いすぎにより自然の生態系が変化することで、土壌中の微生物が減少し、ますます化学肥料や農薬を使わざるを得なくなるという悪循環を断ち切るために提唱されたものです。水耕栽培や水気栽培では土壌を使わないので、微生物も不要です。必要な無機質成分をバランスよく含んだ水で栽培するので、緑肥や堆肥も不要です。
化学肥料は化学農薬とは異なる
化学肥料と書くと化学農薬と同じに思われるかもしれません。しかし別物です。化学肥料の原料は、主に天然鉱物であり、人体に有害な成分は含まれていません。もちろん、土壌中の微生物にとっても有害な成分は含まれていません。土壌栽培で化学肥料を多用すると微生物が減少するのは、化学肥料が微生物にとって栄養にはならないからです。微生物にとっては、有機物を摂取してエネルギーを得ています。有機物を分解して無機物を作り出すので、その無機物を植物が吸収して大きく育つことができるようになります。土壌中の微生物を増やすためには、微生物が摂取できる有機肥料を投入する必要があるのです。