光強度

2013年12月21日 - 実験装置

アイティプランター2で採用しているチップ型LEDによる光強度を示します。植物栽培では、光強度と目で見える明るさとは異なります。光のエネルギーはhvで表現されます。なので、波長が短い程、光のエネルギーは大きくなります。しかし、植物栽培で重要なのは、エネルギーではなく、光の粒子である光量子(光子)の個数で表現した単位が光合成光量子束密度です。光合成は葉緑素に入射する光量子の数によって左右されます。一般に、1分子の二酸化炭素(炭酸ガス、CO2)を光合成で消費するためには、8から10個の光量子が必要とされています。そこで、葉緑素の吸収波長域である400nmから700nmの波長での光量子が単位時間・単位面積あたりに入射する個数を示したのが、光合成光量子束密度です。エネルギ的には、e=hν(e:エネルギ、h:定数、ν:周波数)という関係があるので、波長が短く(周波数が高く)なるほど、エネルギは比例的に高くなる。単位は、μmol m-2s-1である。1molは、6.02×1023を表す。(参考 http://www.hoshi-lab.info/env/light-j.html )

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放射束密度、光合成有効量子束密度、照度では、それぞれで異なった重み付け積分となる。

 

 

 

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アイティプランター2の光量子束密度の実測値は、左図のようになります。

 

チップ型LEDの光が20度の放射角度で広がっているために、LEDから離れるほど、光量子束密度は低下します。しかし、栽培面では、苗が小さい状態であるため、強い光を与えても、ほとんど利用できないために、100μmol m-2s-1程度で十分です。苗が生長して、草丈が伸びるに連れ、強い光量子束密度になります。LED直下の750μmol m-2s-1は、太陽の光(8月20日午前10時)の2,000μmol m-2s-1と比較しても、約1/3であり、植物栽培には、十分な光量子束密度だ言えます。

ちなみに、レタス等では、100μmol m-2s-1ほどで光飽和が起こります。それ以上、強い光を与えても生長には、あまり影響しません。一方、花や実を付ける植物には、強い光が必要です。光が弱いと花も小さく、実も付きません。花芽の付き方は、照射時間にも影響されます。

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次に、太陽光とLEDの光質(分光特性)を比較してみましょう。太陽は、550nmでピークを持っています。

これに対して、LEDのスペクトルは、450nmでピークを持っています。太陽光と比較して、青みがかった光であると言えます。また、C線、B線あたりのパワーが太陽光と比較して少ないと言えます。太陽光のスペクトルに近い波長分布を持つ安価なLEDの開発が待たれます。

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