光と生長

2013年12月21日 - 栽培実験

このページは、中村知聖,”LED型植物工場における照射条件と植物の生長に関する研究”,2011年,立命館大学理工学部環境システム工学科卒業論文発表資料より抜粋しています。

植物の生長は、光の強さに比例するものではありません。呼吸などで植物が消費するエネルギー以上の光合成ができると、植物は栄養を蓄えて植物の重量は増えていきます。その増え方は、光の強さに比例しているわけではなく、あまりにも強い光では、重量の増え方が小さくなります。第1グラフに見られるように、光補償点(植物の消費エネルギーと光合成で獲得するエネルギーが同じになるところ)は、Duty比で18%ほどのところです。Duty100%の時には、約10000Luxなので、Duty比18%は約1800Lux程です。もっとも効率的に光を栄養に変えられる条件が、Duty比37%、約3700Lux程です。しかし、この条件では、レタスは茎が伸びて徒長してしまいます。(なお、この実験はitplanter-01で実施されました。)

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光が強すぎても、栽培効率は良くないようです。では、次に、電力量を一定にした場合、どのような光照射を与えればレタスの重量が増えるのか、実験してみましょう。Wは電力(電流X電圧)で、hは時間、Whは電力量になり、消費電力を表します。表2にように、連続で光を照射した場合と、強い光と弱い光を交互にあてて栽培した場合のレタスの重量を比較します。

すると、第4グラフより、連続で光をあてた場合よりも、強い光と弱い光を交互に照射したほうが、レタスの重量が増えていることが分かります。これは、強い光を受けると、レタスは光合成量が増えすぎて、葉っぱに滞留してしまい、光合成の効率が低下するのだと思われます。強い光の間に弱い光を照射することで、強い光で合成された栄養分が、葉っぱから茎や根に移動し、再び、光合成の効率が高まるのだろうと思われます。

この実験結果は、農業分野で、夏の昼下がりに植物は昼寝する、と言われていることに当てはまりそうです。昼寝中でも、途中で雲がでて、太陽の光を遮ったりすると、再び、光合成が活発になることでしょう。

アイティプランターでは、もともと消費電力が小さいので、栽培を効率化しても、電気代はあまり変わりませんが、大規模な植物工場を運営している場合には、このような知見は、非常に役に立つでしょう。1ヶ月の電気代が半分になれば、それだけ収益が高まるのですから。

LED光源は、2時間〜4時間ほどの周期で明るくしたり、暗くしたりするとレタスはよく育つという結果でした。

光飽和点(光合成速度が最大になる光強度)と光補償点

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