レタスの苦味の対処方法

2016年5月24日 - 栽培実験

レタスが苦くなる原因

夏場のレタスは苦いと言われています。逆に、冬場、肥料の少ないところで少しづつ育ったレタスは甘くなる。この原因を考えてみましょう。

先ず、甘さですが、これはレタスが持っている糖の量でしょう。冬場は、気温が低いので、夜間のレタスの呼吸で消費される糖分が少なく、また、多くの糖分がレタス内に残るために甘く感じるのだと思います。夏場は、夜間の呼吸が活発になり、蓄えた糖分を使っていまいます。また、温度が高いと、抽苔が始まります。

抽苔したレタス

茎が伸びてくると、葉っぱは、とても苦くなります。抽苔させてしまっては、もはや食用のレタスにはなりません。

抽苔するのは、日照時間が長いことが関係しています。夏場は、12時間以下の照明時間で、なおかつ、夜間は苗を冷蔵庫にでも入れておくと、夏場でも美味しいレタスを室内栽培することができるでしょう。

苦くないレタスの収穫方法

レタスの葉っぱに含まれる糖分は、夕方(ライトが消える前)が最も高くなっています。夜(ライトが消えてから)、温度が高くなると、レタスは、呼吸でせっかく作った糖分を消費してしまいます。なので、夕方に、レタスを収穫しておけば、夜間の糖分の消費がない分だけ、甘みが増えて、苦味が気にならなくなります。

レタスの苦味を減らす方法

レタスの苦味の原因は、ラクタカリウム類(lactucopicrins)の成分に由来しているそうです。lactucopicrinsは、乳液に局在し、部位別では芯に多い。ラクタカリウム類は、40度〜50度のお湯(同量の熱湯+水道水)に10分ほど浸しておくと、苦味が和らぎ、葉っぱもパリッとします。食物の細胞を形作るペクチンという物質はお湯で変化を起こし、50℃~70℃の温度帯になるとペクチンが固くなり、それにより歯ごたえが良くなるとのことです。

レタスの変色を防ぐ方法

50℃のお湯に2分つけると変色も防ぐことができます。熱いお湯につけられたときタンパク質は自身の身を守ろうとして熱ショックタンパク質という物質を作り出し、変色を防ぐことにつながります。

レタスの芯の苦味を取り除く方法

レタスの芯には苦味物質が含まれています。レタスは加熱すると苦味が抜け、本来の甘さを味わうことができます。加熱すると苦味物質が別の物質に変化し、隠れていた甘味を感じることができます。

苦味の原因であるカリウムを低下させる

含有カリウムが少ない、低カリウムレタスは、苦味の原因物質であるラクタカリウム類が少なくなり、苦味が少なくなるはずですが、抽苔させてしまうと、逆に苦くなります。

低カリウム化

この写真は2016年5月24日に撮影しています。低カリウム化栽培は、右のほうが期間が長いですが、葉っぱは小ぶりで、苦味があります。一方、左側の方は、葉っぱも大きく、苦味もありません。カリウム量は、左が75mg/100g、右が150mg/100gです。葉っぱが小さいとカリウム濃度が高くなります。右のは、一箇所あたりの株数が多く、光の奪い合い状態になり、十分な光合成ができなかったため、糖分が少ないと思われます。また、ライト照射時間も16時間で長めに設定されていて、抽苔しやすい状況にあったと言えるでしょう。

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左の栽培中の状況です。ずっしりと育っています。

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右の栽培中の状況です。黄化葉も多く、根本の茎も伸び始めています。栽培品種は、どちらも同じ、ロメインレタスです。

低カリウム化栽培では、低カリウム化期間が長いほど、カリウムは減っていくのですが、あまりに長すぎると、逆に苦くなる傾向にあります。また、苗の栽培密度も、生育と苦味に関係します。できるだけ、広めのスペースでゆったりと栽培するのが良いでしょう。夜間の冷房と、ライトの照明時間を12時間以下にすることがポイントになるでしょうか。

 

 

 

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